前回の記事で「運動会とかは、お父さんお母さんで撮影チーム組めば1人でやるより何倍も見応えあるのが出来るよー」という話をチラっと書きましたが、実際僕もやってきたので今回はその話でございます。
卒園ビデオ製作業務
学校や幼稚園、保育園にはたくさんの行事がありますが、運動会はやはり花形イベントですよね。この時期にハンディカムカメラや一眼レフカメラがよく売れるというのはわかる気がします。
編集マンの立場から言わせてもらうと、予算があるならやはり4kビデオカメラがオススメ。
「そもそも4k対応モニター持ってないのに、そんなの買って意味があるのか?」
もちろんございます。編集マンの立場からの意見ですが、フルHDのモニター鑑賞を前提とするならば、4kの解像度で撮影するということはクロップ(いわゆるトリミングみたいなもの)しても画質が荒れにくいという利点があります。これがフルHDカメラではそういきません。必ず劣化しますから。
まぁこっち方面の詳しい話は置いとくとして・・・あ、そうそう。最近のiPhoneとかは4kカメラですよね。だからといって全てのフルHDの動画より画質がいい、ということにはなりませんから気をつけてください。
そもそもキレイな映像や写真というのはほぼセンサーとレンズで決まりますんで、解像度が高い=高画質とはなりません。あくまで一要素に過ぎない、ということですな。
さて、僕は酒田幼稚園のイチOBですが、ありがたいことに現役の保護者の方々から今年度も卒園ビデオ製作依頼を受けております。
もちろん運動会も撮りに行きました。そしてよりよい作品にするために撮影チームを結成したのであります。
最大のミッションはパラバルーン撮影
毎年、酒田幼稚園の運動会では年長園児によるパラバルーン演技が行われます。
ひょっとして幼稚園や保育園ではメジャーなプログラムなのかもしれませんが、昨年初めて撮影を行ったとき、その見事なまでの演技と、そこまで持っていった先生達の指導力に物凄い衝撃と感動を受けたのを覚えております。あまりの素晴らしさに泣きながら編集してましたもん。
昨年はやや強風だったため急遽パラバルーンだけ体育館で行われることになったんですが、おかげで撮影自体はやりやすかったです。急造チームでしたが5アングルからきっちり撮れました。
今年は初めての屋外での撮影です。撮影担当者はというと、動画は僕を含めた4人。静止画が1人。カメラは6台(内、三脚固定1台)というチーム構成です。
静止画は僕の妻なのでほっといても仕事をしますが、動画部隊は素人集団です。僕だって編集マンが撮影を兼務してる身分なのでまだまだ素人に毛が生え揃ってきたかなというレベル。
予め数日前に僕の家で運動会撮影全体のミーティングを行いましたが、パラバルーンにおいては具体的な指示は出しませんでした。なぜなら天候による変更や、撮影エリア自体が確定してなかったからです。
園長先生や学年主任の先生との打ち合わせの結果、それらが確定したのは当日の午前中。それでもまだ指示は出せませんでした。無難に行くか、リスキーだけどいわゆる絵を撮りにいくか、運動会の最中、僕はずーっと悩みモード。
そして演技開始10分前。みんなに集まってもらい、編集者の立場としてお願いしました。
「僕と三脚固定カメラは全体図を正面から撮ります。みなさんは両サイドに散って、子供の表情がはっきりわかる絵を狙ってください。ご存知の通りサイドからは被写体が遠いので、必然的にズームを使うことになります。それでもなるべくブラさずに、且つフレーム内に捉えてください。失敗してもいいです。もう一度言いますが、全体図は僕が撮ってますから必要ありません」
結局リスキーな方を選択してしまいました。
そして僕は3メートルくらい上から、さらに1.5メートルの一脚にアクションカメラを搭載して俯瞰の映像を撮るべく脚立に上がりました。
え?いまいち絵が浮かばない。下をご覧ください。いわゆるコレです。
拡大してみましょう。
これ、結構恐いですから。身体張ってますから。
許可を下さった園長先生、こんな高い脚立に上ることを進言してくださった職員のHさん、倒れないように支えてくださった父兄のKさん、Sさん。
本当にありがとうございました。
撮影を終えて
僕は自宅に戻るとすぐにPCにデータを取り込み編集ソフトを立ち上げました。
タイムラインに各カメラの映像を並べ、音を揃え、何べんも何べんも繰り返してチェック。
素晴らしいッ
両サイドのカメラマン達の撮影データ、はっきり言って90%は失敗です。けれどもあきらめずに「子供の頑張ってる、そして楽しそうな表情を撮るんだ」とトライし続ける気持ちが残り10%を生み出してました。
そう気持ち。気持ちはデータに現れます。音楽とかもそうでしょうけど、センスと呼ばれるものをバラしてみるとじつは技術の集合体だったということがほとんどですが、気持ちという一見実態がつかめないものが込められ、そしてそれが如実に表れている製作物というのは確かに存在するのです。
例えばSNSでの投稿写真ひとつみてもピンときますよね。それが本当に被写体が持っている何かを伝えようとアレコレ工夫しているのか、ただ、それっぽくしただけなのかみたいなのが。
とにかく僕のお願いによって有志たちが撮影したデータ。とにかく子供達の全力に大人達も正面から(正式には両サイドから)全力で応えてる映像に感動しました。
本当はそこまで寄らなくても無難に収めればマルチアングルですからそれっぽい映像にはなるんです。けれども卒園ビデオは「それっぽい」じゃダメ。そういうのは作りたくない。
保護者の方のあの気持ちがあれば必ず今年もいいモノになります。
この日、僕はハッキリと確信しました。