「・・・だ!地震だ!」
激しい揺れと妻の声で目が覚めた。身体が横にグラグラ揺れている。枕元ではスマホがけたたましい警報アラームを鳴らしていた。
時刻を確認すると22時20分過ぎだった。就寝したのが22時なので、まさに眠りについたばかりの出来事だった。
我々夫婦がとっさに取った行動といえば、妻は自室に走りリュックにものをつめ始め、僕はリビングにいきテレビをつけた。なお、息子はいくら声を掛けても起きなかった。
とにかく自分がいるところの津波情報を確認したかったが、テレビではすでに1メートルの津波注意報を知らせていて「到達か」と出ていた。
1メートルといっても風で起きる普通の波と津波での違いは知っていた。数キロ先に及ぶ1メートルの海水の壁が突っ込んでくるのだ。だが「到達か」の情報だったので続報を待つことにした。
次に自宅と同接する事務所を確認しにいった。物が散乱してるということはなかった。とりあえず二台のカメラと数本のレンズ、三台のハードディスク、そしてノートPCを二階に移動した。おカネはまたなんとかなるかもしれないが、この撮影機と記録の数々を失ったらシャレにならない。
道路に出てみた。ちらほらクルマは普通に走っている。人は見当たらなかった。
部屋に戻りテレビに釘付けになった。細かな情報が入ってくる。どうやらここ酒田市は震度5弱。なお隣りの鶴岡市は6弱、さらに隣りの新潟県村上市は6強というから心配だ。
村上市や鶴岡市からも現場リポートが入ってくる。みんな酔っ払っているようだ。23時から会見を開いた菅官房長官もいまいちロレツが回っていない。時間が時間だけに仕方ないだろう。お酒を飲んで日々の疲れを癒すのも大事なこと。
SNSのタイムラインには友人の安否報告がたくさん書き込まれていた。僕のスマートフォンにもたくさん確認を頂いた。とりあえず大丈夫と伝えた。
中には実際に避難を始めた人達もいる。ウチは待機と判断した。とりあえず寝た。
朝6時過ぎに小学校の連絡網で案内が来た。学校が避難所開設のため本日は臨時休校とのこと。スマホを確認すると、同じ内容で0時43分に学校からメールが来ていた。
次々と事務所に県外の取引先から安否確認の電話が来た。その頃、妻は出勤、息子は息子なりに避難準備を完了していた。
ふと水を確認した。ウチは常に飲み水として確保しているぶんがあるのだが残量は40リッターだった。空のタンクがひとつあったのでそれにも詰めて60リッターにしておいた。
そのあとクルマのガソリンを満タンにするため外出し、現在6月19日11時15分、事務所に戻ってコレを書いている。
これから雨が降るらしい。もうしばらく警戒モードは続く。
追記
じつは昨日の日中、つまり地震発生の数時間前、外回り中に「今日はなんか変な雲だなぁ」と思って車を止めて写真を撮ろうとしたのだが、ちょうどそのとき電話が入ってしまいウヤムヤになったのが悔やまれる。地震と雲に関連性があるのかは知らないが、将来、何かの参考になるかもしれないので是が非でも撮っておくべきだった。気になったら絶対撮れ。わかったか自分。