Uターン記念日

散文的日常記録

ふとカレンダーを見たら今日は2月10日だった。

誰にでも忘れない日というのはある。僕の場合は2月8日がそれだ。98年2月8日に僕は7年ぶりに東京から酒田に住まいを変え、2月10日から家業の手伝いを始めた。あれから25年も経ったというのが不思議な気持ちである。

東京を出る日はとてもいい天気だった。まぁ太平洋側の冬なんてほとんど快晴だが、それでも昼前に乗った東京駅発の新幹線の窓から差し込む光がとても眩しかったのを今でも覚えている。

夕方に着いた自宅の部屋はとても広く感じた。過去に帰省した時もいつもそう感じていた。というか狭いアパート暮らしに慣れ切った感覚がそう思わせるのだろう。部屋ばかりではなく酒田は広い。道も広ければ、人と人との物理的距離も広く感じた。これも同じで都会は何もかもが狭いのだ。

何か新しいことを始めなければ、と思った。ロックンロールバンドがやりたくて都会へ出た僕だし、それさえやり切ったとまでは言えなかったけれども、酒田に帰ってきてまでそんなことを続けられる気がしなかった。

だから新しいことをやらなければいけない。そう思い立って釣りを始めた。ゴルフの打ちっぱなしも行ってみた。友達に誘われてフットサルの練習にも行った。全てがしっくりこなくて、一年後には、高校時までお世話になった楽器屋さんを訪ねて相談に乗ってもらい、とあるバンドに加入し、そこから転々としたのち、最後にはまたロックンロールバンドをやる流れが40過ぎまで続いた。

少年期には剣道、青年期にはロックンロールバンド、そして今は写真を撮ることに打ち込んでいる。幸か不幸かどれも職業にはならなかったので、どれも自分が好きなようにやれたのが僕の誇りといえば誇りだ。

あれから25年経った。これからの25年はどうなっていくのか見当もつかないが、なるべくなら最後まで好きなようにやっていきたい。

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