昨日の記事で触れましたが、ゴールデンウィーク中に町の自治会青年部主催のバーベキューに参加してきました。
この催しは近年恒例化されていて、というのもこれから始まっていくイベント(運動会や夏祭り)に向けての決起集会になっています。まぁ青年部とは言っても30代後半から50代半ばのメンバーで構成されている、いわゆるイベントで汗かいて働くことが余儀なくされた世代ってやつです。
そんなわけで年代も近いメンバーもいるし、それこそ住んでるところなんて全員そのへんですのでね、毎回話題が尽きることはない。
で、今回は『電波』の話になりました。
電波といっても一時期話題になったパナウェ〇ブ研究所の話ではありませんよ。確か前回の集まりでトランシーバーの話になり、Iさんというちょうどアマチュア無線が趣味の男がいましてね。今度持ってきてよと言ったら本当に持ってきまして。
ただしその男が「今日持ってきたトランシーバーはあくまでおもちゃみたいなもんだ」と言うんですよ。なんでそんなもん持ってくるんだよ。本格的なの持って来いよと言うと「今日はこれでどれくらい交信できるか試したい」とのこと。
これね、僕も最初理解できなかったんですが、無線が趣味の人間って交信そのものが目的ってよりも、自分があれこれ考えた手段がどこまで通用するのかのテストが楽しいみたいなところがあるんですよ。
で、今回持ってきた安いトランシーバーがね、果たして自治会館があるココと直線で200メートルくらい離れた公園とで通信できるかやってみたいと言うわけだ。
みんなお酒入ってるしお腹は肉で満たされて面白くなってるから「おぉ、それは面白そうだ。Iさん、公園まで行ってきてよ」となり、そのIさんとなぜかお供に女子高生Mさんがついていくわけだ。50半ばのトランシーバー握ったおっさんと女子高生の組み合わせですからね。明らかに怪しい。すると・・・
Iさん「ピピーガガー。こちら〇〇。聞こえますか?ただいま住宅街を歩いています。本部どうぞ」
とかいきなりガチ目で聞こえてきたから僕は吹き出しちゃったわけですが、一応それっぽく返答しました。
僕「えーとこちら本部。ただいま感度良好です。どうぞ」
Iさん「ばかもの。感度は良好とかじゃな駄目だ。5段階中いくつなのか言え!」
僕「えーと。じゃあ5,いや4かな」
Iさん「はっきりせい!」
もうくだらなくて仕方ないんだけど、Iさん本気だから僕も真剣にやらなきゃという気持ちになりました。すると・・・
Iさん「こちら〇〇。ただいま現着。滑り台の上にいる。聞こえますか。どうぞ」
僕「こちら本部。ザーザー言っててあまり聞こえません」
Iさん「そうか。やはり障害物がなぁ・・・あ、すいません。いや、いま自治会で防災のときのためにテストしていててハイ」
どうやら誰かに状況を説明している様子が聞こえてきました。そりゃそうでしょう。親子連れでたくさんの公園でおっさんと女の子がトランシーバーをガーがー鳴らしながら何かやってるんですから怪しすぎて仕方が無い。
ということでテストはイマイチという結果になりまして「まぁ運動会や夏祭りでだったら使えるんじゃね?」というのが本部の結論。
そこで突然立ち上がったS青年部部長。「会社のやつ、もっと電波届くよ」と言い出す始末。そして「誰かお酒飲んでない人いたら会社まで連れてってくれれば持ってくるよ」とUさんの運転するクルマで取りに行きました。
で、持ってきたトランシーバーは3つ。それを見たIさん曰く「これは相当いいやつだ。間違いなく町内の端から端まで届くぞ」とのこと。
先ほどのたかが200メートルでザーザーいってたおもちゃで萎えてた僕たちは、そこまで言うなら本当に町全域で交信できるのかどうか試したくて仕方が無くなり、自治会館、A公園、B公園の3か所で同時に交信できるかやってみることにしました。楽しい休日の昼下がりのバーべキューが防災訓練に変わった瞬間です。
それぞれ本部(自治会館)はS部長、A公園(本部から直線距離で200m)はIさん、B公園(本部から直線距離で500m)は僕と、それぞれ3手に分かれていざスタート。
結果は良好。というより何ひとつ途切れることなくクリアな交信結果になりました。
これに一番驚いたのは、僕をここまでクルマで連れてきてくれた自治会副会長であり総務部長のUさん。「ここここれは、いざというときのために自治会でも持っておくべきでは?」と来たもんだ。
僕「買いましょう。町の予算で買いましょう。」
Uさん「いや待って!避難所と本部が交信できるかもテストしたい!」
さすが町の金庫番Uさん。面白おかしいだけでモノは買いません。では避難所のK小学校(本部から直線距離で700m)にいってみましょうと僕。
僕「こちらブラボーチームから本部とアルファへ。U衛生兵の進言により避難所指定のK小学校においても通信テストしたい。どうぞ」
本部&アルファ「了解。現着を待つ」
結果、全て良好でした。素晴らしい。
その後、本部へ戻った僕らはそのまま無線の話になり、価格を調べてさすがに高価すぎるということで一気に何台も買うことは無理だねという話になり、それじゃあせめて俺たちが個人で1台ずつ買って交信しようぜという流れから、お酒の席特有のうやむやになってトランシーバーの話は終了。
それからは昔はラジオが娯楽だったよねぇという話になり、あーでもないこーでもないから宴は終了。で、みんなで会場を片付けした後、IさんとFさんと歩いて帰りました。
で、帰ってから僕は事務所の自分の机の引き出しの奥に閉まっていた2台のトランシーバーを引っ張り出します。
そう。じつは僕、トランシーバーを持ってたんですよ。10年ちょっと前かなぁ。漁師のお客さんが廃業するときにもらったの。さっそく電池を入れ、1台を息子のいる部屋に持っていき、僕はもう一度事務所に戻り目の前のトランシーバーの通話ボタンを押しました。
「こちら親父。聞こえるか?感度は5段階中いくつか言え」