勇気(ハート)のカウンター

我が息子が剣道スポーツ少年団に入団したのは今年の夏休み。今月に入りとうとう防具を着ることが許可された。

それどころか12月1日(日)に行われる大会の団体戦に次鋒(二番目に試合を行う選手)としてデビューすることが決定している。

竹刀を初めて持った日からわずか四ヶ月で対人戦を行うというのは、僕の少年時代の頃には考えられなかった話だ。僕は入団から1年後に防具装着、試合デビューはそれからまた1年かかった気がする。

これはもちろん時代背景の違いもある。僕が小学一年生で入団したときは団員が80名近くもいたし、卒業時にも40名はいたはず。もちろん僕らが第二次ベビーブーム世代ということ、小学一年生から入団できるのが剣道だけだったことが大きく関係しているだろう。

簡単に言えば貸し出し用の防具が足りなかったし、試合に出れるのはせいぜい10~15名の2~3チーム。そういう理由から僕らのデビューは遅かった。

だからといって、自分でまだ防具すら満足に着れない息子のような剣士が試合に出るのには正直言えば反対である。親の身からすればこっぴどく打ち込まれやる気を全て失ってしまわないかが心配だ。

けれどもそこは保護者が口出しする領域ではない。決定した以上、全力でサポートするのが保護者の役目。

いま、僕は毎日息子にカウンターアタックのやり方を教えている。返し技や払い技などひとつも出来ないばかりか、試合というものがなんなのかさえもわかってはいない息子が、大きな身体と長いキャリアを持つ上級生剣士を相手取り、勝てないまでも一矢報いるためにはカウンターを取るしかない。ちなみに剣道では出鼻技という。

僕自身、完全なカウンター剣士だった。テクニカルに素早く連続技を決めた記憶なんかほとんどない。相手より先に間合いに入り、我慢比べの末、起こしたところの出鼻を1のテンポでくじく。ほとんどこればかり稽古していたし、この出鼻面こそが剣道の真骨頂だと信じていた。

どんなに剣道が強い人間でも、絶対に防御できない瞬間が3つある。それは打ち始め、打ち終わり、そして息を吸うときである。その中でも打ち始めは比較的カウンターが取りやすい。

もちろん相手が打ち始めてから打つのでは遅い。というよりこちらの思惑通りのタイミングで打ち始めさせることがカウンターを取るための攻めである。

昨晩、同学年の選手と1分間の練習試合を行っていた。本人は気づいていないが4つカウンターを取れている。もちろん打ちが弱いから有効打にはならないが、そのタイミングでしっかりとした打突と残心が伴えば一本は取れている。

12月1日。奇しくもこの日は彼の9歳の誕生日である。もちろん一試合も勝てないだろうし、一本も取れないだろう。だが、相手をヒヤリとさせることぐらいは出来るはずだし、それがトレーナーでもある僕の使命だ。何とか気迫を見せて欲しい。

息子には漫画はじめの一歩に登場する宮田一郎のこの言葉を送りたい。

「覚えとけよ。カウンターのコツはな、タイミングと勇気(ハート)だぜ」

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