「いい試合」を積み上げていく

剣道

このあいだの稽古終了時に、指導者の先生から来月行われる市の大会のメンバーとポジションが発表された。息子はAチームといういわゆる一軍出場で、ポジションは中堅である。

中堅は3番目に出て行く選手で、チームの勝敗の分かれ道になることもあれば、決定づける場面も回ってくるという重要なポジションである。

とはいっても大将や先鋒ほどのプレッシャーはないはず。これまで大会出場経験が2回しかない息子にとってはありがたい条件だ。

その2回の出場経験だってもう1年半も前の話。本来であれば昨年度にたっぷり経験を積み、5年生となる今年度から本格的に始動という僕の密やかなプランだったのだが、それもコロナ禍で全ての大会が消失したせいで崩れてしまった。

対外試合の経験はとても大事である。なぜなら剣道にはどうしても他人が教えることが出来ない部分があり、それは本人が対外試合で経験を積んでいくしか術がないからだ。

恐らく剣道だけではなく打突系の武道や格闘技などは全て同じだと思うが、「ここで打てばお互いに当たる間合い」というものがある。そして「打とうとしてもお互いに当たらない間合い」もある。

そしてしばらくすると「相手の打突が当たらず、自分の打突が一方的に当たる状態」というのが存在することに気付く。

じつは初めて対峙する相手に対し、この状態を早く見つけるコツを他人が教えることは出来ない。なぜなら体調やメンタル、直近の練習コンディションによって左右される部分なので、その日そのとき自分で見つけていくしかない。

稀に天才みたいなのがいて、相手と1~2度交錯しただけでそれをモノにする人もいる。でも、多くの選手にとっては試合経験の積み重ねからくる部分が大きい。

とはいっても何も考えず自分勝手な試合をしていたら入る経験値はゼロである。例えば道場内では強いのに、対外試合になると力を発揮できない選手というのがいるが、恐らく原因はこのへんにあるからで、なぜなら勝手を知った仲同士の稽古で得られるモノではないからだ。

まぁ鼻息荒く書いてはみたものの、剣道は試合に勝てばいいというものではないというのが持論でもある。乱暴な言い方をすれば、このあたりの大会で何等賞になるとかが目標というのはちょっと小さすぎる話だと思う。もちろん勝負にこだわって試合に臨むのは大事だが、いつでも勝敗という結果ばかりが頭にこびついている生き方は窮屈であろう。

そんなことよりどんな相手と対戦したとしても、それまで自分が習得してきたことを発揮出来た、或いは発揮しようとする姿勢づくりこそが最優先。そこから生み出される「いい試合」をたくさん積み上げることが、結果本人の人間形成にとって一番の財産なのだから。

うちの息子だけではなく、道場内の多くの子ども達は微力ながら一時僕がコーチングをした子も多い。ぜひ、ひさしぶりになる今大会は自分の持てる力を存分に発揮できるように頑張ってもらいたい。

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