先月、息子が楽しみにしていた格闘技イベントのTHE MATCH 2022を家族三人でPPV観戦していたとき、昔のK-1のOPに使われていた曲が流れた。プリンスのエンドルフィンマシーンである。
「懐かしいなこれ」
「誰の曲?」
「ん?プリンスだよ」
僕より8歳年下の妻は恐らくプリンスはその名しか知らないと思う。僕にしたって全盛期はたぶん中学生である。当時のプリンスのいで立ちやステージパフォーマンスは中学生にとってはかなり理解しづらいものだったと思う。
そんな僕でも彼のアルバムを3枚所持している。パープルレイン、1999、そして先ほど書いたエンドルフィンマシーンが収録されているゴールド・エクスペリエンスだ。全部20代の頃に買ったものだが、たぶん2000年以降は一度も再生していない。
何だか急に懐かしくなったので、CDを封じ込めた倉庫2階の段ボールをあけて探した。いくら探してもパープルレインと1999が見当たらない。仕方が無いのでゴールド・エクスペリエンスだけ引っ張り出しクルマのプレイヤーに取り込んだあと、カメラに旧ミノルタのMD ROKKOR 50mm F1.4を装着して出掛けた。
音楽と写真
プリンスを聴きながら走るクルマから見る景色はいつもと違って見えた。見慣れた、そして撮りつくしたような光景であっても、新しい何かがアンテナに引っ掛かってくる。
例えばローリング・ストーンズのアルバムは今でもよく聴いてるから懐かしいという感情は湧かないが、プリンスは本当に懐かしく感じる。たぶん一時だけその世界に強烈に魅せられ、その後覚めたように段ボール行きとなったからかもしれない。
ゴールド・エクスペリエンスではもちろんエンドルフィンマシーンも好きだが、ドルフィンって曲も凄く好きなんだよね。
やっぱ音楽ってのは素晴らしいと思う。僕はよく「音楽をやめて今は写真を撮っている」という言い方をするが、それは音楽を創作するという行為をやめただけで、今でも日常的に音楽は聴くし、特に好きな音楽を流しているときなどは体温が1℃ほど上昇してるんじゃないかと思う。
反面、好きじゃない音楽は一切聴くことはなくなった。『音楽を演る方』だった頃は「こんなのにもいいところのひとつくらいはあるはずだ」と思いつつ、半ば研究材料として我慢して理解しようとすることもあった。でも、もう今はそんなことをする必要が無い。好きな音楽だけを好きな時に聴ける現在が一番音楽を楽しめてる。
考えてみれば写真だってそうだ。僕は好きなものや好きな人しか撮りたくない。好きな音楽を聴きながら好きなものを撮って生きていく。
ひょっとしたら熱に浮かされた子どものように、いつかまた人前で演奏したいと思うときが来るかもしれない。そのときはそのときに考える。
ところで今日のレンズは何故か記事では初登場のMD ROKKOR 50mm F1.4です。50㎜で解放F値1.4ってのはやっぱ最低一本は所持してたくなりますよね。
そのレンズを2.0まで絞って撮った写真をほとんど掲載してます。なぜ2.0かというと、なんとなく一番特徴が出てる気がして。
ちなみにRAW現像してますが、いつものようにトーンカーブをちょっといじってるだけで色味などは全く触ってません。撮ったまんまです。
以前、CanonのEF50mmF1.4を使ってたんですけど下取りに出しちゃったんだよね。いま考えるとアレは売らなきゃよかったなと思ってます。Lレンズのような派手さも何もない映りなんだけど、ザ・写真ってのがたくさん撮れた気がする。いわゆるオーソドックス。
さて、今夜もプリンス聴きながら本でも読むかな。
ということで
音楽聴くと写真を撮りたいという欲が湧き、写真を撮ると音楽が聴きたいという欲が湧く。
そうなんですよ。最近気づいたんですけど、僕がプライベートで撮ってる写真に目的って無いんだよね。写真展をやりたいとも思わないし、フォトコンテストに応募したいとも思わない。ただ、撮りたいって欲に従ってるだけみたいなんですよね。
でもまぁ、歴史に名を残してる写真家の方々だって、代表作みたいなのは何万枚も撮った中での数十枚とかですよね。そう考えると僕も欲に従って撮りまくってれば、いつか傑作が生まれるんじゃないかと思うのだ。
ま、生まれなくても別に構いませんけどね。ではまた。