革靴を履いて出掛けよう

服装

息子がこれからも剣道を続けるというので、僕が中学のときに使ってた防具をリペアして使わせることになった。

本当は僕がやるはずだったのだが、妻が「失敗しそうで危ない。絶対に私がやった方が上手くいく」というのでやらせてあげた。

なかなか上出来だ、と思う。

というか最近の面防具は面布団(肩をガードする部分)が短いのが主流と聞く。あごの部分から計って22~23センチとか。もっと短いのになると20センチを切るらしい。

だが、僕が使ってたのは当然昔のものなので26センチもあった。でも、時代に逆行しててそれもまたかっこいいんじゃないかと思う。息子も気に入ったようだ。

というか最初は「別にボロボロのままでいい」と彼は言ったのだが、そこは「親父がボロボロにしたものをそのまま装着するんじゃなく自分でボロボロにするからかっこいいんだ」と言っておいた。

さて、妻が防具をリペアしている間、僕は暇だったので革靴を磨くことにした。

僕は昔、古道具屋でバイトしてたときがあり、そこでは古い靴も取り扱ったりしてたから、最初に覚えたのは入荷した靴を磨くことだった。特に店長が靴好きということもあり、結構こだわりを持った磨き方を学ばされた。

「もし、就職するときはな。5万円あったら4万円のスーツを買って、余った1万円で靴とかシャツとかベルトとかを揃えるのはだめだぞ。スーツは2万円のでいいから、せめて靴も2~3万円のを買わないとだめだ。そして日ごろからちゃんと手入れをしろ。靴がちゃんとしてるだけで着てる物だってそれなりにみえるもんだ」

僕は別に靴マニアでもコレクターでもないから、いろいろ買い漁ったりすることはなかったが、昔聞いたこの店長のアドバイスが妙に頭にこびりついているため、今でもあまり安っぽい靴は買わない性格になった。もちろんスニーカーやサンダルなどは何でもいいが、革靴はそれなりのものを選び、手入れをしつつ長く履いた方が結果的に得なのもわかった。

ところでその店は結局潰れたのだが、店じまいの時に店長が「退職金代わりだ」と言ってプレゼントしてもらった靴が、上の画像の中央に写っているイタリア生まれのブーツである。

「絶対に定期的に手入れをしてくれよ。革靴は生き物だぞ」

僕はこの靴の価値がどうとかよくわからないが、店頭に並んでいるときの価格は当時の僕にとっては恐ろしく高かったのを覚えている。そんな高価なものをもらって嬉しいはずなのだが、何故かこの靴を僕は履く気になれなかった。20代の男にとっては大げさすぎる靴に感じたからだ。

あれから長い年月が過ぎたが、こうやって定期的に引っ張り出して手入れはしていた。そしたら今日「あれ?今の俺ならひょっとして似合うんじゃないか?」と思い履いてみた。履いたら出掛けたくなったのでクルマに乗って少しドライブした。

港にクルマを停め、少し歩いてみる。なぜこの靴はこんなに歩きやすいのだろうか。そしてなぜこんなに足を包み込むように革が柔らかいのだろうか。靴のことをよく知らない僕にはわからない。ただ、いい靴だ、と思った。いい靴を履くと気分がシャンとするのだ。

近年、僕はスニーカーばかり履いていた。でも、改めて今日、革靴っていいなと思った。この春は出来るだけ革靴を履いて出掛けようかと思う。

 

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