正直に言いますと「RICHO GRしか撮れない写真がある」という謳い文句を初めて耳にしたときに、僕は「そんな大げさな(笑)」と思いました。
でも、それはまんざらウソではありませんでした。GRシリーズにしか撮れない写真はあるし「世の中には二種類のカメラがある。それはGRかGRじゃないかだ」というのを実際に手にしてからは実感しています。
大事な記念撮影に適したカメラではありません。
絶景をこれでもかというくらい綺麗に撮れるカメラでもありません。
子どもの成長記録にも、運動会で頑張る姿を撮るのにも適してはいません。
けれどもこのGRシリーズというカメラを毎日持ち出すアイテムにひとつ加えるだけで、今日から誰もがアート写真家になってしまいます。何を以ってアートとするかはこの際置いておくとしても、少なくとも日々のかけがえのない瞬間や光線の美しさに気づかされるきっかけとなるでしょう。
今回はそんなGRシリーズを手に入れようかどうか迷ってる方へ参考になればと思います。
RICHO GRシリーズとは?
カメラの歴史なんて知らなくても写真は撮れますが、このカメラはリリース時から尖がった存在であるため、そのへんを予備知識として捉えておいた方が実際に所持した時に楽しいかと思います。
…と思っていろいろ書こうかと思いましたが、公式サイトにしっかりと掲載されていました。こちらを参考にされるのが間違いないです。
上のサイトの補足としては、1996年発売のGR1から2001年9月のGR1vまではフィルムカメラとなり、2005年10月のGR DIGITALからがデジタルカメラです。
そして2013年のGRからは同じデジタルカメラでもAPS-Cセンサー搭載となり、それは2021年11月現在においての最新機種であるGR IIIxにまで続いています。
ちなみにGRといえば「28mm単焦点レンズ」というイメージですが、過去には21㎜バージョンも発売されていますし、最新のGR IIIxは40mm画角です。
とはいうものの僕もGRといえば28mmという固定観念が強いです。というより40㎜だと他でも代用が効くというか、例えばミラーレスカメラに40㎜相当のオールドレンズでいいかなという気がしないでもない。自分にとっては28㎜だからこそあの散歩スナップでのリズム感が出る、と思ってます。
余談ですが、リコーのGRといえば森山大道氏の使用カメラとして有名ですが、僕の知る限りではそれはフィルム時代のGRシリーズのことで、最近の作品では彼がGRで撮ったという話を雑誌等の企画以外では聞きません。
実際、どんなカメラなのか?
それでは実際僕の所持するGRの画像を見てみましょう。
左がフルサイズミラーレスカメラのα7Ⅱ、右がGRです。α7Ⅱもフルサイズにしては小型なのですが大きく見えますね。
上から見た図。
電源オンから2秒後には写真が撮れますよ。
片手でも気軽に写真が撮れるようにでしょうか?ボタン類は全て右側に設置されているのが非常に好ましいです。実際に片手でスパスパ撮れますからね。
GRは累積シャッター回数などが自身で調べられます。電源オフ時に再生ボタン度とダイヤル上を同時押しでこの画面が出ます。僕のは16000回弱ですのでまだまだいける。
画像ではサイズ感ぐらいしかお伝え出来ませんが、実際は手に持つとまず軽さにびっくりするかと思います。あと起動の速さ、そしてこういっちゃなんですがチープな感じも否めないはず。
でも、それがGRというカメラを作るうえで、携帯性と速射性に特化させた結論なんでしょうね。
GRシリーズを入手すべき人
このカメラは、例えば家電量販店やショッピングサイトなどで「コンパクトデジタルカメラ」という売り場やカテゴリーを覗き、他の機種と比べたのちに買うカメラではありません。
はっきり言えば「GRを手に入れるかどうか?」の選択しかないモノだと思います。それほど特化したカメラです。では、どのような人に向いてるのでしょうか?
- 日常の散歩や通勤から作品めいたスナップ写真を撮ってみたい人。
- 趣味としての写真撮影に興味はあるが、大きいカメラやレンズを担いで写真を撮りに出かけるというのとはちょっと違う人。
- いわゆる自分だけのクールな写真を撮ってみたい人。
要は日常に写真でスパイスを加えたいとでもいいましょうか。もしくはいつもの流れる時間に付箋やチェックマークを入れたいとかそういうイメージを持つ方が持つカメラだと思います。
実際僕もそうでしたが、そのような写真撮影を毎日繰り返していると、ちょっとした散歩でいい光を見つけることとか、朝、起きたときに空気が澄んでるとか、そのようなことが楽しくなってきて日常がちょっと楽しくなりますよ。
GRシリーズに向かない人
もちろんこんな尖がったカメラですので向かない人の方が多いはずです。
- 旅行や記念日のような特別な日以外にカメラを持ち出したくない人
- 写真はなるべく現実を忠実に再現したもので無ければだめだと思ってる人
要はこのGRで撮れる写真はどこまでいっても叙情的なんです。そのあたりはフジフィルムのカメラも似たような感じかもしれません。
僕は写真はもっと自由であるべきだと思ってるし、写真に収めた時点で現実性が損なわれるのが当たり前というタイプですので叙情的な表現も好きです。
けれども、そういう写真が苦手な人がいることも知ってますので、忠実な記録性を重視したい人はCanonやNikonのカメラにしないと後悔すると思います。
もう一度書きますが、GRは叙情的な表現をするのに向いてるカメラだと思います。記録性を重視するなら同じコンパクトカメラでもSONYのRX100の方が上手く応えてくれるはず。
過去の作例から
ここからは実際に僕がこれまでに撮った写真の一部を紹介していきたいと思います。
GRはカメラ搭載のエフェクト効果も実用性が高いのが多いです。これはブリーチバイパスかな。
息子の同級生の女の子が下校時に雪玉を見せに事務所に寄ってくれました。腰にぶら下げていたGRでパチリ。
エフェクトはポジフィルム調。
外回り中にサボっていた駐車場。目の前に八重桜が咲いていたのでパチリ。
散歩中から。GRはハッピーな映りというより退廃的な表現の方が得意かもしれません。僕は田舎住まいなので無理ですが、都市景観とかの写真を撮るのがかっこいいと思います。
友達のクルマの助手席から。
友達と談笑中。こういう写真をわざわざフルサイズカメラで撮ることって無いじゃないですか。画質うんぬんではなくこういうときにサっと取り出せるのがGRの最大の性能だと思います。
近所の散歩から。
何も考えずひたすら撮れます。考えるのは見返したときでいいじゃないですか。
怪獣みたいな雲。夕暮れにちょっと散歩した時だったので、これもGRを持ってなきゃ撮れませんでした。
スーツを着て出るようなとある会合のときに夕陽が差し込んできたのでパチリ。スーツのポケットにGRを忍ばせておいたので撮れました。
GRといえばハイコントラストモードをまず楽しみたくなりますよね。気分はまさに森山大道です。僕もさんざんやりました。
というわけで
もちろん現代であれば上にあげたような写真はスマートフォンのカメラで代用出来てしまうのかもしれませんし、実際2010年にiPhone4がリリースされて以降、GRの需要は減ったとも聞きます。
けれども僕自身は写真は写真機で撮りたい人間で、スマートフォンはあくまで通信デバイスと捉えています。構えてしっくりくる感じ、シャッターを切る感触等も含めて、僕はやはり専用機が好きです。それに2021年現在においてはAPS-C専用搭載のスマートフォンは未だ完成されていないのではないのでしょうか?
そういった意味においても、もし中古で買うとしたら僕のおすすめは2013年5月に発売されたGR以降のモデルです。
もっといえば最新のⅢシリーズじゃなくても、そのAPS-Cセンサー搭載モデルのGRでいいと思いますよ。型落ちだろうが何だろうがGRのコンセプトはいつのモデルでも同じです。
というわけで、ぜひ、みなさんもGRシリーズを手に入れて日々の暮らしをアートに変えてみませんか?楽しいですよ、GR。
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