それぞれの色に委ねる

散文的日常記録

このあいだまで感傷的な気分でたくさんのお別れをしたと思ってたら、新年度になってもう一週間も経とうとしている。市内のあちこちのスポットでは桜が満開となり、明日の入学式に彩りを添える形となった。

今年もこのあたりの桜の開花が例年より二週間以上も早い。今年「も」というのは、一昨年も同じように早くて、何だか急かされたような気分のまま過ごした記憶があるからだ。

新年度になり、少し落ち着いた頃に桜が咲き、散った頃にゴールデンウィークに突入して、終わった頃には休みボケを引きずりつつ仕事をしつつ酒田まつりを迎えるといったような、例年通りのサイクルが個人的には安心する。

でも、まぁそれはいいとしよう。問題なのは現在の某写真共有サイトの投稿が桜の写真で埋め尽くされていて、その何割かがピンクの桜だということだ。

ソメイヨシノってピンクじゃないだろう、と僕は思う。むしろ白がベースで、満開から散り際あたりにほんの少しだけ薄いピンクがかった色になる程度だろう。

でも、わかんない。自信が無くなってきた。先ほどあげたSNSで観るやたらと濃いピンクのソメイヨシノは背景の色まで変な色と濃度になってるから、その画像を作る際に何らかの手を加えてるのは間違いないけど、それでも多くの人にとって桜(ソメイヨシノ)=ピンクという認識なのかもしれない。つまり僕の目か脳がおかしい可能性があるのだ。

もちろん僕は写真を加工するという行為がだめだと言ってるわけではない。イメージカットや宣伝材料ならどんどんやるべきだと思う。僕だって頼まれて撮影したアーティスとのプロフィール写真などは不自然なくらい加工することだってあるし、そもそも僕の好きなモノクロ写真だって加工といえば加工である。

でも、なんつーのかな。自然が持つ根本的なとこを崩すのはまずいと思うの…やめよう、こういった話は口やかましい偏屈カメラマニアのおじいさんみたいで良くない。

そういうこともあって、桜はモノクロで撮るのがいいんじゃないかと思い始めたのが最近の僕である。モノクロなら観た人が頭の中で自由に、そして自分にとって桜はこうだというカラーに補正できるじゃないか。

そういえば毎年恒例なのだが、先日、中学入学記念として何人かの子の桜スナップを妻が撮った。僕は相変わらず手伝いなのだが、撮影の合間に僕も二眼レフカメラとコンパクトフィルムカメラでオフショットを撮らせてもらった。

フィルムが馬鹿みたいに高騰しているこの時代に、わざわざフィルムカメラで撮るなんて、僕は相当桜スナップが好きなんだなとつくづく思った。

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