気を高め、引き出し、合わせることが剣道の素晴らしさ

剣道

毎週水曜夜はスポーツ少年団の練習ではなく道場としての稽古日となるため、僕も初心者コースのお手伝いをしている。

初心者コースというのは、いわゆる防具を装着する許可をまだもらっていない剣士だち。入門からだいたい3ヶ月~半年間はこの時期を過ごすのだが、今月から新たに3年生の男子2名が防具組となったため、残る初心者コースの子は2年生になったばかりの女の子だけとなり、その他、保護者のお母さん2名を加えた合計3名に僕はコーチをしている。

僕が人様に教えることが出来るものがあるとすればカメラの使い方と中学生レベルくらいまでの剣道しかない。ドラムやギターもそれなりに得意ではあったが、全く教える自信はない。

じつは剣道も教える自信なんて無かったのだが、2年前に息子が始めたので、彼に教えるために書物や動画で研究したり、現役時に感覚で覚えていたことを文字に起こしたりして勉強したので何とか出来るのである。

とにかく初心者の子には変なクセが本格的な悪癖にならないように心掛けで指導している。他のスポーツはどうだかわからないが、とにかく剣道は新しいことを教えるよりも、染み付いたクセを直すのが後々大変だからだ。

そういった意味でもとにかく最初は徹底的に正しい形で覚えてもらって、いざ防具組になったときに、指導者の先生方の教えをスムーズに吸収していってもらいたいと願っている。

さて、稽古の最後には全員でかかり稽古だ。

かかり稽古というのは、先生が空けたところに一人ずつ15秒間ひたすら打ち込んでいくという稽古だが、昨日は僕も先生側に立ち、剣士全員+保護者3名、計15名の打ち込みをを2セットずつ受けた。

こんなにたくさんの打ち込みを受けたのは中学で主将をやったとき以来だろうか。非常にくたびれて息もあがってくるのだが、同時に昔の感覚がどんどん蘇ってきて楽しい。

当たり前だが、打ち手は一人ひとりが全く異なる。

上手な子に対しては、ただの打ち込みロボットにならないようにリズミカルに気持ちよく打たせたい。

あまりぶつかるのが得意でない子には、恐がらずにぶつからせたい。

初心者にはゆっくりでいいから正しく打たせたい。

そんな感じで30回ほどの打ち込みを受けたのだが、数回は本当に気持ちよい稽古があった。

何というか、お互いの気がぴったり合った瞬間とでも言うのだろうか。とにかく気を張り、お互いに引き出しあって、気持ちが高いところで調和する瞬間が本当に心地よい。

結局のところ、剣道の真髄はここなんじゃなかろうか、と今さらながら思う。

かかり稽古に限らず、大会でもよく見かける光景として、明らかに高学年で上手な子が、初めて試合に出てきたような低学年の子と全く噛み合わず引き分けになってしまうケースがあるし、特に技術が高くない同士の試合でも、妙に噛み合って全日本選手権のような相面(相打ちの面)勝負で決着がつくことがある。前者は気が合わない試合、後者は気が合った試合だ。

気を合わせる。合気。僕もこれに関してはいまいち言語化出来ない。

だが、確実にいえるのは、やはり剣道が上手な者、試合で強い者というのは例外なく相手と気を合わせるのに長けている。つまり自分勝手な剣道を一切やらない。

この部分を何とか子ども達に伝えていきたい。

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