「さようなら、コダクローム」はただのカメラ好きのためへの映画ではなかった

写真や動画のこと

先週、またフィルムの生産終了のニュースが飛び込んできまして。

この中判用のカラーネガフィルム「PRO160NS」は僕も二眼レフを楽しむときに使ってたものなので、さて困ったねという感じ。

これです。僕のももう二本しかストックが無いな。

もちろん「何が何でもこのフィルムじゃないと嫌だ!」ということは無いので代わりになるものを探せばいいのですが、ここ最近飛び込んでくる「値上げ」と「生産終了」のニュースを耳にするたびにフィルムカメラで遊ぼうという気が失せてくるのは確かなんですよね。

そういえば僕にはひとつの夢…というかプランがあったんですよ。

それは息子が高校を卒業したタイミングで手持ち全てのデジタルカメラとレンズを処分して、代わりにライカのフィルムカメラを一台手に入れようってね。そしてレンズは35㎜と50㎜の二本だけ所持して、残りの人生は自分の写真だけをゆっくりじっくり撮ったり飾ったりを楽しむ余生にしよう、と。

でも、肝心のフィルムがどんどん厳しい状況になるのであれば、それはもう叶いそうな気がしなくなってきました。

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「さようなら、コダクローム」という映画

そんなとき、以前「さようなら、コダクローム」という映画のタイトルをスマホにメモしておいたことを思い出しましてね。いずれ観るつもりで。

僕には普段「ヒマだから映画でも観るかな」といった習慣がありませんが、この映画は確かどこかのweb記事で「カメラや写真好きにオススメの映画」と紹介されてたんですよね。極度の映画オンチの僕ですので、こういったきっかけが無いとなかなかね。どうやら日本では未公開でNETFLIX独占配信みたいです。

コダクロームというのはアメリカのフィルムメーカーのコダック社が長年販売し続けたリバーサルフィルムのことです。いわゆるポジフィルムですね。

それよりなにより休日の昼下がりに観るにはぴったりな内容じゃないですか。ちなみにオガー家は妻がNETFLIX会員なのでそれを利用させてもらいました。

観た感想(ネタバレ無し)

さっきも書きましたが、僕は映画を語るのが苦手ですので、いつも面白かったか面白くなかったしかありません。ということは、ブログで記事にしちゃうくらいこの映画は面白かったということです。

ストーリーは月並みです。ドキドキワクワク一発逆転といったことはなく淡々と進み、そして結末においても「たぶんこうなるんだろうな」と予想できるようなものですが、僕にとってはそれがとても好ましい印象です。

内容は古典的とはいえども映像自体は現代風に綺麗ですっきりしています。だけど、どこか懐かしく、そして色合いがまさにコダクロームといったところでしょうか。僕はあらすじうんぬんよりも、この画を観てるだけで満足でしたね。何しろ僕は前世がアメリカの片田舎育ちでトレーラー運転手だったと思い込んでますから。

言うほどカメラ好き向けという映画ではないです。メインキャストがライカのM4-Pを持って立ち回るシーンこそ確かにありますがそこまでカメラに焦点を当てていません。

むしろ時代によるさまざまな転換を目の当たりにしてきた我々全般に響くものがあると思います。

レコードからCD、地図からカーナビゲーションといったように、この映画もまたフィルム写真からデジタル写真への節目を表現しています。

ただ、それを過剰に嘆くわけでもなく淡々と訴えていることに僕はとても好ましい印象を持ちました。

最後に

僕みたいなおっさんからすれば、フィルム現像なんてちょっと前までは普通のことでした。何度でも撮り直しが可能なデジタル時代になったことでいろんなことが便利にはなりましたが、同時にネガが戻ってくるまでのドキドキ感は失われました。

音楽もデジタルはおろかネット配信時代にまでなり、手軽で便利ではあるけれど、店で購入した後、自宅に帰ってシュリンクを剥がしてじっくりジャケットや歌詞カードを楽しみ、いざ再生機に乗せ、さんざん聴いた後にラックに入れ、それを眺めながら悦に浸る感覚。そういったことは失われましたね。

アナログは確かに面倒でした。けれども今こうやって振り返ると、過程そのものを楽しめたし、その一瞬一瞬が刹那的でかけがえのないものだったのかもしれませんね。映画の中でもそういったことに親子二人で言及するシーンがあって面白かったです。

「さようなら、コダクローム」はただのカメラ好きへ向けた映画ではなく、みんなが忘れていたものの価値を再確認させてくれるようなとても温かい映画だったと思います。おすすめですよ。

ではまた。

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